入門 考える技術・書く技術
著書
山崎康司
Memo
P9. ビジネス文書では、何について書くのかを決めるのは、あなたではありません。それは読み手です。 あなたは読み手の知りたいことを、読み手の関心に向かって書くのです。
P14. 考える作業で大切なのは、最も重要な考え(主メッセージ)を見つけることです。
P15. 構成さえきちんとしていれば、書く段になってあれこれ悩むことはありません。 逆に、もし途中で筆が止まってしまうようなら、それはきちんと考えられていない証しです。
P18. 読み手に疑問に対する答えこそが、ビジネス文書で伝えるべき考え(メッセージ)なのです。 したがって、読み手の理解こそが、説得力あるビジネス文書を書くための最重要ポイントになります。
P25. 複数の読み手が存在する場合には、漠然と書くのではなく、ターゲットとなる読み手を具体的に設定してください。
P26. 問題を正しく定義できれば、問題の半分以上は解決できたようなものだと言います。 同じように、読み手の状況や疑問を正しく理解できれば、ライティングの半分は成功したと言ってもよいでしょう。
P26. バーバラ・ミント女史の「新版 考える技術・書く技術」では、SCQ分析を提案している。 S(Situation:状況)現在に至った状況 C(Complication:複雑化)状況の変化 Q(Question:疑問)
P26. ビジネス文書に的を絞ったもっとシンプルな方法として「OPQ分析」をご紹介します。 0(Objective):望ましい状況 P(Problem):問題、すなわち現状とObjectiveとのギャップ Q:(Question):読み手の疑問 A:(Answer):答え/文書の主メッセージ→Qに忠実に答える
P35. OPQ分析のコツ コツ1:すべて読み手の視点で表現する コツ2:比較のレール(トピック)を外さない コツ3:文書の主メッセージはQに直接答える
P44. 1956年にアメリカの認知心理学者、ジョージ・ミラーは有名な論文「マジックナンバー7、プラス/マイナス2」の中で、人間が短期記憶できる考えうの数は7±2であるという研究結果を発表し、大きな話題を集めました。 ライティングでの世界では安全を取り、なので、下限である「5」を限界の数とするのが一般的です。
P46. 文書の主メッセージは、読み手の疑問に対する答えです。1つに絞り込むことにより、明快かつ協力に相手に印象づけます。 もしメッセージを1つに絞り込めないようであれば、それは最初から2つ以上の文書に分けて書くべきです。
P48. 考えを組み立てるプロセスには、2種類の作業があります。 1.グループ化し、要約メッセージを探す 複数のメッセージを1つのグループにくくり、そのグループを象徴する1つのメッセージ(要約メッセージ)を見つけ出す。
2.メッセージに従って、グループを作る ある1つのメッセージについて、その根拠や説明となるメッセージ(支持メッセージ)のグループを作り出す。
どちらかだけでOKというものではなく、2つの作業で相互チェックをかけながら考えを組み立てていきます。
P57. 明快な要約メッセージと説得力のあるグループ化は切り離せない関係にある - 要約メッセージが曖昧な場合、メッセージにしたがってグループを作ろうとしても、説得力あるグループはできません。 そもそもグループ全体で伝えようとしている考えが曖昧だからです。 - グループ化そのものがおかしい場合、明快な要約メッセージを作れません。要約メッセージはグループ化の根拠を意味するからです。
P58. 要約メッセージを文章にするときの「4つの鉄則」 1.名詞表現、体言止めは仕様禁止とする →すると、メッセージというより見出しになってしまいがち →メッセージを明確に表現しようとする本来の目的を妨げてしまう
2.「あいまい言葉」は使用禁止とする ex)見直し、再構築、問題、適切な
3.メッセージはただ1つの文章で表現する
4.「しりてが」接続詞は使用禁止とする 「…し、…」 「…であり、…」 「…して、…」 「…だが、…」 「…せず、…」 「…なく、…」 →ロジカル接続詞を用いる
P65. 要約メッセージ発見のベスト・ツールとして、“So What?”(それで何が言いたいの?)という呪文を紹介します。
P70. 帰納法とは、複数の特定事象(前提)から要約(結論)を導くロジック展開です。 結論は常に推論となります。絶対的な真実ではなく、前提から導かれた「論理的」に正しい推論です。
P72. 帰納法では、全体(下部メッセージ)はすべて「同じ種類の考え」となります。複数の同じ種類の考えから1つの結論を推測します。
- 下部メッセージの主部が同じ場合→述部を推測
- 下部メッセージの述部が同じ場合→主部を推測
- 下部メッセージの意味するものが同じ場合→意味するものが結論
P74. 帰納法は「つなぎ言葉」でチェックする
ステップ1:「つなぎ言葉」をメッセージ文の冒頭に入れてみる 「なぜそう判断するかと言えば」 「なぜならば」 「たとえば」 「具体的には」
ステップ2:声に出して読み上げ、上下のつじつまを確認する
ステップ3:下部メッセージ群のつなぎ言葉を見比べる
P80. 帰納法で最も典型的な表現スタイルをご紹介します。 「私の言いたいことは、…です。理由は3つあります。第一の理由は…、第二の理由は…、第三の理由は…」 結論を先に言い、その後に説明(理由、根拠、方法論)を挙げていくスタイルはわかりやすくシンプルであり、スピートど明快さが求められるビジネスに非常に適しています。
P81. 演繹法は、絶対的に正しいことや、一般的に正しいと判断されること(前提)から、妥当と思われる結論を導くものです。 演繹法の場合は、すべての前提(下部メッセージ)が正しければ、結論も絶対的に正しくなります。
P84. 演繹法は「前提」をチェックする 演繹法でロジックが正しく流れているかどうかを自己チェックする方法を紹介しましょう。 それは「前提」のあとに、「本当に正しいと言えるか?」と自らに問いを投げかけてみることです。
P86. ピラミッドは、伝えるべきメッセージを明快にし、説得力あるように組み立てるためのツール(道具)です。 どんなに熟達した人でも、一度で完璧なピラミッドを書けることはありません。 「So what?」の自問を繰り返しながら、何度も作り直すものです。直せば直すほど、いいピラミッドになります。
コツ1:1つの考えを短く明快に - 主メッセージとキーライン(主メッセージを直接支持するメッセージ)を早めに決める - ピラミッド内で文書を書こうとしてはいけない
コツ2:縦と横の「二次元」を意識する
縦の関係は「論理の帰結」、つまり上が結論(要約)で下が根拠/説明という関係になっています。 チェック法としては、 帰納法:つなぎ言葉のチェック 演繹法:前提文が本当に正しいかどうかのチェック
横の関係は、結論を導く「論理づけ」(ロジックの流れ)を表します。 チェック法としては、 帰納法:横に並んだメッセージ群が、「同じ種類の考え」かどうかのチェック 演繹法:前提文が本当に正しいかどうかのチェックと第一前提文の主語か述語が、第二前提文にバトンタッチされているかをチェック
P93. ピラミッドを作る場合、下部は必ず複数のメッセージとなります。 1対1の「ぶらさがり型ピラミッド」になってしまっているときは、何かがおかしい証拠です。 前提が自前であり、疑問の余地がないのであれば、1対1のピラミッドを作るまでもなく、ロジカル接続詞で表現すれば十分。
P95. 同じメッセージの繰り返しに注意 ありがちな間違いは、表現は違うように見えてロジック的には同じことを言っているにすぎないということがある。 同じメッセージになっているかどうかは「So What?」と問いを投げかけてみれば、すぐに発見できるはずです。
P96. 読み手にとって既知のこと(わかりきったこと、当たり前のこと)を書いてはならない。 とりわけ、キーラインなどの重要部分では、絶対に既知事項は書かないでください。 読み手はあくまで、自分が知らないことを知ろうとして文書を読むわけです。
P104. 書くプロセスは、考えるプロセスを通じて作り上げてきたピラミッドを紙の上に置き換えるだけの作業です。 ここで最も大切なのは、ピラミッド型のメッセージ構成を崩さず、そのまま構造が見えるよう文書で表現するということです。 逆に言えば、よい文書は一見しただけでピラミッド構造が思い浮かぶものなのです。
この段階で「なぜかピラミッドのメッセージがうまく文書に置き換えられない」と悩んでいる方をみかけます。 たいていはロジックがおかしいとか、ピラミッド内のメッセージが絞りきれていないなど、考えそのものに問題がある場合がほとんどです。
基本 - メッセージごとの固まりが一目でわかるようにする - 各メッセージ文を固まりの冒頭に配置する - ピラミッドのメッセージをそのまま形にする
P125. 読み手を引きつける「導入部」 導入部では、「その文書を書くことになった経緯の説明」など、読み手の関心を確認したり引きつけたりするための情報が盛り込まれます。 ここで有効なのが1章で学んだ「OPQ分析」です。
P130. 経営コンサルタントの提案書は4部構成が大原則です。 1章:現状の理解(導入部) 2章:プロジェクトの目的 3章:プロジェクト・アプローチ 4章:プロジェクト体制
P132. 提案書などの場合には、原則として、次のステップに向けて読み手の確認・行動を促す必要あるため、結びをつけます。
P138. メールが見違えるように変わる「感謝の言葉にPDF」
感謝の言葉 P(Purpose Statement):目的文 主メッセージ部分のこと D(Detail):詳細 主メッセージの理由や判断根拠、内容説明、具体案あんど F(Follow-Through):フォロースルー 読み手に求めるアクション、自分のアクションの説明など